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 「シルバーバレット回顧録・N城という男の話」

 シルバーバレットには、名物となる人間が何人か居た。

 その中でも特に印象深いのは、なんと言っても同い年のN城。
 彼は、デッキ構築でも、そのトレード方法でも、あらゆる意味で印象深い。

 「デッキ構築編」

 作りたいデッキを作り、そして思いっきり回して楽しむ。
 彼の主義はそれで、最初から最後まで徹頭徹尾一貫していた。

 オデッセイが出た頃、N城が開発した夢のデッキ、それがN城バウンスだ。
 大量のバウンスから、ブレイズを出す事によってハーフロックを掛けるというデッキで、そのカードチョイスがまさに匠の域。

 まず、2ターン目から相手の土地を縛りたいという思想から構築はスタートだ。

 ブーメラン4枚採用、まあこれは至って普通。
 そして、ここにN城の代名詞となるカードが採用された。

 その名も、パーディック山の鉱夫(http://whisper.wisdom-guild.net/card/524212/)。
 当時、様々なデッキが溢れるシルバーでさえ、そのカードを使ったのはN城ただ一人。
 対戦した相手達から畏怖を込められて、後に「N城ドワーフ」と呼ばれるカードである。

 そしてはね返りなどなど、とにもかくにもバウンスの雨あられ。
 硫黄の噴気孔(http://whisper.wisdom-guild.net/card/510093/)まで採用したのは、世界を捜してもN城ぐらいじゃないだろうか。

 もちろん、ブレイズも4枚フル投入。
 フィニッシャーだから当然だ。

 ……フィニッシャー?

 ちなみにこのデッキ、恐るべき事にブレイズとN城ドワーフしか生き物が入っていない。
 主な勝利条件は、ブレイズが死なない事。
 主な敗北条件は、ブレイズが死ぬ事。
 まさに漢のデッキである。

 その当時、菊四はステロイドを使っており、よくブレイズを暴行/殴打で始末。
 土地0対7をひっくり返したりというのが日常茶飯事であった。
 そんな脆さがあったのだが、その強烈なインパクトは基地のプレイヤーにも受け、なんとコピーデッキ使用者まで現れた。
 N城の最高傑作であるN城バウンスが、魔性のデッキとして認知された瞬間である。

 この他にもありとあらゆる実験的なデッキがあったのだが、あえて一つを選ぶとしたらやはりこれに尽きる。

 「トレード」

 N城と言えば、その大胆なトレード術も記憶に残っている。
 普通に考えれば、シャークとかでもない限り他人のトレード話などどうでも良いが、N城のトレードは常軌を逸していた。
 この前まで、ディードトグを使っていたかと思えばステロイド、そして怪しげなコントロールへとデッキが変化していく。

 N城のトレードをカードで例えるならば、トレイリアの風(http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tolarian+Winds/)そのものである。
 奴のバインダーは、毎回開ける度に別のものへ変化していた。

 しかも毎回ちょっと損している。これがトレイリアの風たる由縁である。
 ただ、蒐集力が凄く噛み合った時は、やたらとアポカリプスのダメラン各種が光っていたりとかディードとか魂売りのフォイルを大量に持っていた記憶もあるので、完全にそれとは言えないか。

 「努力の人」

 ある日、N城がカマール(http://whisper.wisdom-guild.net/card/524198/)を私に手渡してきた。
 異質さにすぐに気が付いた。

 まず、オデッセイでありながら白枠であった。
 さらに、テキスト欄が真っ白であった。

 ナニコレ、エラーカード?
 N城、答えて曰く。

 暇だったから砂消しで全部消した。
 N城は真に努力家であった。
 ちょっとあさっての方向を向いているのさえ直せば、完璧だっただろう。

 ……それにしても、あのカードは弱かった。
 ちなみに画像はその時のカマールを再現したものである。
 これを砂消しでやり遂げた彼の意思の強さを感じてもらいたい。

 以上、N城という男の話 完

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